行政書士試験の模擬試験・答案練習会(答練)

一部予備校では試験前などに模擬試験や答案練習会が行われます。予備校に通ったり通信講座を受けている人は勿論、独学で学習している人も、本番に備えて模擬試験等を受けておくのが望ましいと思います。

 資格試験の勉強では、知識を頭の中に入れるインプットも重要ですが、知識を答案にして表現するアウトプットも重要です。慣れないうちは知識はあっても、点に結びつかないこともよくあります。これはアウトプットの能力が欠けていることを意味しています。法律の知識がなく、予備校に通ったり通信講座を受けている人は勿論、法律の知識があり十分に知識を有している人でも、知識を答案として再現するアウトプットの訓練をすることは重要です。

 模擬試験と答案練習会について簡単に説明します。

 模擬試験とは文字通り、本番を模した試験です。本番に近い形で問題を解くことで、アウトプットの能力を高めることができます。本番の雰囲気や問題に慣れることも出来ます。自分の実力を試す場としても有益です。

 答案練習会とは文字通り、答案を練習する講座です。最新問題を解きまくり、解説を聞くことによってアウトプットの能力を高めるとともに、足りない知識を補っていきます。なお、答案練習会は「答練」と略されています。

 模擬試験や答案練習会を受けるメリットはいくつもあります。

 模擬試験では本試験の予想問題が出題されますし、模試によっては成績表も配られますので、自分のレベルを知る機会になります。また、本番に慣れるという点でも重要です。来年の試験から試験時間が30分拡大され、3時間になります。慣れていないと3時間休みなしで集中して問題を解き続けるのは体力的にも精神的にも辛いものです。意外と盲点になるのがトイレです。試験時間3時間、トイレに行かなくて済むのか、仮に途中でトイレに行った場合、全問解く時間的余裕があるかは結構重要です。このあたりは、本番と同様の状況で試験を受けてみないとなかなか気がつきにくいでしょう。更に、実際に試験を受けることでペース配分などをつかむ事も出来ます。このように、本番に慣れておくためにも、本番と同じ時間同じ形式で行われる本試験直前の模擬試験を受けることは重要なのです。

 模擬試験を受けるメリットはこの他にもあります。実際に問題を解くことで自分の苦手分野をはっきりさせることができるのです。自分の苦手分野を明らかにして、苦手分野を集中的に勉強することによって勉強の効率化がはかれます。

 このように、模擬試験や答案練習会にはメリットがいくつもあります。独学だとインプットはともかく、アウトプットの能力は不足しがちになるので、独学で勉強している人も、模擬試験等は受けておいたほうが無難だと思います。

 予備校によって違いますが、模擬試験や答案練習会は、本試験直前は勿論、随時行われています。たとえば、LEC東京リーガルマインドでは、基礎力診断模試、実力診断模試、トライアル模試、プレ模試などの模試が随時行われています。早稲田セミナーでは全国統一公開力試し模擬試験、全国統一公開模擬試験が行われるほか、いくつかの答練会が行われています。模擬試験や答案練習会の情報は各予備校や資格学校のHPや書店等においてあるパンフレットで知ることが出来ます。

 なお、模擬試験集が書籍の形でも発売されています。この模擬試験集を利用するのもいいでしょう。ただし、2006年からの新試験に対応しているかを確認してから模擬試験集を購入するようにしましょう。

■2006年からの新試験導入で、模擬試験・答案練習会が更に重要に!
 2006年以降の試験に向けては、模擬試験・答案練習会などでアウトプット能力を高める必要性が更に重要になってきます。平成18年(2006年)の試験から新試験が導入されるからです。独学で新試験に対応するのにはかなりの不安があります。新試験では、従来あった行政書士法、戸籍法、住民基本台帳法、税法、労働法などは試験科目から除かれました。また、従来の一般教養に変わって、行政書士の業務に関連する一般知識等として政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解の3つの分野から出題されます。ただし、削除された法令については「政治・経済・社会」、「情報通信・個人情報保護」分野において関連する知識を問う問題が出来されうるとのことです。
 
 新試験で試験科目から削除された法令が一般知識等を問う問題の中で出題されうるのは明らかなのですが、どのような形で出題されるかはっきりしていません。個人でこれに対応するのは厳しい面があるので、模擬試験や答案練習会で予想問題を解き、削除された法律がどのような形で出題されるのか、一応の目安を知っておくことはとても重要です。

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