法科大学院(ロースクール)を受ける前に知っておきたいこと

ロースクールの入試はかなりの難関です。難関大学のロースクールは勿論、実力的に劣る大学のロースクールに入るのも楽ではありません。ロースクール受験のために勉強しても、ロースクールに落ちることもあることは知っておきましょう。既にロースクールの中には定員割れを起こしたところもありますが、志願倍率は1倍を超えています。定員割れを起こしても実力のない学生は取らないという方針だと思われます。ロースクール入試は難関で必ず受かるとは限らないことは事前に心しておきましょう。勿論、難しいからと言って諦める必要がないのはいうまでもありません。

 もうひとつ、とても重要なことがあります。ロースクールに入ったからといって、必ず新司法試験に合格できるわけではありません。このことは絶対に認識しておきましょう。

 ロースクールが誕生した頃には、ロースクールに入れば司法試験に合格するように思われたときもありましたが、実際には新司法試験の合格率は30〜50%程度に過ぎないのです。しかも、今後新しいロースクールが認可されるとすれば、その分だけ新司法試験を受ける分母が増え、合格率が下がってしまいます。

 学校である法科大学院を認可するのは文部科学省ですが、法曹になるための試験である司法試験を管轄するのは法務省です。この両者の思惑が一致していないことも、ロースクールの定員と新司法試験の合格者数のアンバランスの原因のひとつでしょう。このこと大いに問題ですし、改善されていくことを期待しますが、そのことの問題点は別にして、ロースクールを修了したとしても新司法試験の合格率は30〜50%程度に過ぎないということは、ロースクールに入る前から認識しておくべきだと思います。
 
 しかも、新司法試験には受験制限があります。新司法試験は3回しか受けることが出来ないのです。3回受けても合格できないと受験資格を失い、受験出来なくなってしまいます。ロースクールを卒業したものの実力が伴っていないと判断した場合、受験を可否することも可能です。しかし、その場合でも、ロースクール卒業後5年を経過してしまうと受験資格を失ってしまいます。

 新司法試験には、5年間で3回までという厳しい受験制限があるのです。そして、一旦受験資格を失ってしまうと、予備試験に合格しない限り新司法試験を受けることが出来なくなってしまいます。かなり厳しい試験なのです。

 このように、ロースクールに入ったからといって、司法試験に必ず受かるとは限りません。むしろ受からない人のほうが多いかもしれません。特に、仕事を辞めてロースクールに入学しようとしている社会人のみなさんはこのリスクをしっかりと認識し、仕事を辞めてまでロースクールに入って大丈夫なのか、仕事を辞めてまでロースクールに入学する価値があるのかをきちんと判断してから、ロースクールに挑戦するようにしましょう。

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